
「おまえはいつから仲本工事になったんだ!!」
枕元に立った模型の神様に叩き起こされ、Headlockで締め上げられました。トランポリンで跳ねてるヒマがあったら、工作用紙を切り刻め!ということ。
多分に遺伝もあるのでしょうが、「血糖値が高い」と人間ドックで指摘されて以降の10年間、糖尿病予備軍と言われ続けながら3、4か月一度の病院検査を受けてきました。結果は一進一退。
その間、何もしていなかったわけではありません。一時期、ジョギングにいそしんでみたけれど、好きじゃないものは続かない。『美味しんぼ』だか『ミスター味っ子』だかに出てきた豆腐と納豆をご飯に載せた「親子丼」一択の毎日とか、野菜で腹を膨らませるという常套戦術とか。コロナで外出ができないなか、子どもたちのために買ったトランポリンは、いつの間にやらお父さんのカロリー消費マシンになりました。耳元の荻野目洋子やら早見優が6回ループするまで跳ね続ける日々とか、やってみました。でもですね、他のところが不摂生だったのか、ついには病院で言われましたよ。
「これは、もう糖尿病になってるよ」
昇格しました。そこから「また」スイッチが入って、トランポリンで跳ねたりしたんですが、腰を痛める始末。やっぱり思うわけですよ。「効果あんのか?これ・・・」
やり方があるのだと思います。それを守り、強固たる意志を持ち、信じて跳び続ければ、良いこともあるでしょう。でも、僕はそんな殊勝な人間じゃない。そんなご立派な人間であれば、人間ドックであんな数値を、そもそも叩き出すはずがない。トランポリンで時間をとられることが「もったいない」と思っている時点でダメなんですね。楽しんでやれないものは、結局、なんでもダメなんですよ。楽しめないものは、時間かけてやっても意味がない。限られた人生の時間を無駄にする。1秒1秒、カウントダウンしているのに。塗料が乾燥するまでトランポリンしようとか、そんな模型生活は、精神衛生上よろしくない。
正直な話、模型の神様なんか枕元に立っていません。模型の神様は僕のようなレベルの人間は相手にしてくれません。僕が寝ているところ、枕元に立つのは「目覚ましがうるせえ。早く止めて起きろ」と言って怒っている、仁王立ちの嫁さんくらいです。たまに、踵落としのような技が繰り出される。嫁さんに踵落としのような技で起こされるよりも、模型の神様に頭蓋骨固めで起こされるほうが、かっこいい。
あれは嫁さんではなくて、模型の神様であったと思いたい。
模型の神様は降臨しませんでしたが、朝起きて、ふと思ったんですよ。時間をとられず、やる気にも左右されずに取り組むには、やっぱり食べ物しかないと。それまで、気が向いたときだけチマチマと白米に混ぜていたもち麦の袋を改めて手に取り、まじまじと眺めました。白米に2割ほど混ぜて炊けば「おいしいよ!」みたいなことが書いてある。
「20%なんぞと甘ったれたことやってられるか!100%だぜ!」
その場で、家族に宣言しました。「お父さんは、今日からもち麦100%の男でいく。そのかわり、トランポリンもブルワーカーもやりません」
もち麦のみの生活。大好きな白米を一切、口にしない日々が続きました。何かに時間を割くという、そんなことを必要としない取り組み。嫁さんが怪訝な顔をします。「そんなのばっかり食べてて大丈夫?」「やりすぎは良くないよ。お父さんはいつも極端だよね」と。
「やりすぎないと見られない景色があるんだぜ」と言いながらもち麦を喰い、1年経過。100%のもち麦と、晩飯前に炭酸水で割ったおちょこ1杯分のリンゴ酢摂取。これを習慣化して1年。運動は全くしていません。それで、どうなったか。
先日の人間ドック。去年より体重が10キロ近く減っていました。結果は、
「本日、ここに生還しました。ありがとうございました」
もう、完全にルーティーンになっていて、今も続けています。ジョギングだ、トランポリンだと、時間に対して強迫観念を抱かずに模型製作に没頭できる。素晴らしいことでございます。
トランポリンは解体され、ブルワーカーは視界から消えて、今はどこに埋もれているのかわからない。そんな場所に生還した僕。また、何かを作ってみようと思います。
手元に用途を失ったアクリルディスプレイケースがあります。25×15×15cmのサイズ。作った模型を収めようと購入しましたが、内寸がわずかに合わず、使えなかったヤツ。部品が飛びだしていて、サイズをフルに使えない仕様。これが使われないまま転がっていても仕方がないので、これに収まる模型を作ってみようと思います。
みなもすなる制作記といふものを、野蛮人もしてみむとてするなり。
うまくいくのかなー。キンチョーするなー。


